2018年8月30日

追悼、津川雅彦「狂った果実」

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ヌーヴェルバーグ的な太陽族映画

今回は小津安二郎からちょっと離れて、最近お亡くなりになった津川雅彦の16歳でのデビュー作「狂った果実」について少し書いてみたいと思います。
この映画は昭和31年、「東京物語」の翌年に日活から公開されています。
この作品は当時、日活が売り出し中だった石原裕次郎と、のちに妻となる北原三枝を組ませ、裕次郎の弟役として津川雅彦をキャスティングしています。

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俗に言う「太陽族映画」と小バカにしがちですが、この作品はあのフランソワトリュフォーが称賛しているんです。
「何が素晴らしいかと言うと、この映画は僅か17日間で撮られていることだ。作品の良し悪しは撮影日数とは比例しない」的に。

裕次郎は風貌に独特の個性があって、新時代のスターと感じさせるオーラがありますが、津川雅彦は顔立ちが整っていて上品な雰囲気です。
そして16歳とは思えないくらいお芝居が上手です。
彼が日活以外の会社に所属していたら、時代劇を含め、もっと色々な役柄を演じていい役者さんに成長できたのに、と思うとちょっと残念です。

たとえば、例に出しては気の毒ですが、同じ16歳でスクリーンデビューしているピーターの「薔薇の葬列」なんか、ピーターがへたっぴ過ぎて頭が痛くなっちゃいます。
松本俊夫監督作品じゃなかったら絶対に見なかったです。

津川雅彦は兄とひとりの女性を奪い合う、純情な少年役を見事に演じきっています。
ラストシーンの迫力には圧倒されるくらい強い目力です。

岡田眞澄の使い方が秀逸

狂った果実、この作品を陰鬱なものばかりにせず、軽さを出している立役者には岡田眞澄の存在があります。
若い頃の岡田眞澄はそれはそれは二枚目で、立ち居振る舞いもスマートです。
中原淳一の「ジュニアそれいゆ」に幸村いづみなんかと良くグラビアで出ていました。
ヒマワリ社のグラビアはノーギャラですが、出ることができるのは中原淳一が認めた人材だけです。
美空ひばりは一度も登場していません。

狂った果実の中で、太陽族集団がナイトクラブに押し寄せた時、岡田眞澄の顔を見たウェイターが慌てて英語でオーダーを取ろうとしたら、「焼酎、プリーズ?」って返すんです。
これがカッコ良くて。

もう、遊び終わったから棄てたい女の子には「ご縁と命がありましたらまたお会いしましょう」とか、小面憎いほどカッコいいんです。

こんな脚本の良さに支えられて津川雅彦は素晴らしいデビューを飾ることができたんです。

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