2018年8月12日

「流れる」私はこれが書きたかった

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大女優たちの火花が散るような演技合戦

「流れる」は大ヒット作「浮雲」の翌年に撮影された成瀬巳喜男監督の作品です。
おそらく浮雲の大ヒットで予算が潤沢に会ったんじゃないでしょうか、キャストがすごいんです。
営業が傾きかけた芸者置屋が舞台と言うことで、スター級の女優さんが大勢キャスティングされています。

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まず芸者置屋の女将に山田五十鈴
その娘が高峰秀子(ふたりの年齢差は僅か8歳とのことです)。
芸者置屋の女中が田中絹代。

すごくないですか、この3人だけでも1枚看板の女優さんなのに一辺に使っちゃうところ。
脇を固めるのは杉村春子、岡田茉莉子、いつもの中北千枝子。

そして日本映画の黎明期の大スター栗島すみ子まで特別出演で引っ張り出しています。

男衆は今回はカスばっかりでロクなのが出ていませんが、それでも宮口精二、加東大介と言ったところで安定感はあります。
演じる役者陣それぞれが演技力の確かな人たちばかりですから、その丁々発止の掛け合いには火花が散るような緊張感があります。
嵐の激情を主演ふたりの名演技で見せた、浮雲よりも、この群像劇に近い流れるの方が年齢を重ねたせいか、私にはしっくり来ます。

やっぱりすごいのが杉村春子

この作品でも年増の通い芸者、染香を演じる杉村春子が天衣無縫の圧倒的な演技力で見る者を圧倒します。
女中、お春を演じる田中絹代にコロッケとコッペパンのお使いを頼み、狭い台所で「はい、1個はあんたにお駄賃ね。何て言ってもこれが安くておいしいから最高なのよ」とか言ってご機嫌な染香お姉さんの台詞回しには私の方が鳥肌立っちゃいます。

年代的にもこの時期、母親役に回ることの多い杉村春子なんですが、染香お姉さんは完全に女。
女以外の何物でもありません。

そして、酔っ払って帰って来て、岡田茉莉子と嬌声を上げて踊り回るシーン。
染香お姉さんは散々騒ぎ散らして、自縛してリバースしちゃうんですが、その背中は寂しい中年女そのものなんです。
他の役者さんたちももちろん皆さんお上手なんです。
けれども染香お姉さんのシーンだけは完全に染香お姉さんの一枚看板です。

あと、山田五十鈴の玄人美には驚きました。
「水も滴るいい女」って言うのはまさにこう言う人を言うんだなって。
この方が何度目の恋愛をしている時の出演作化までは存じ上げませんが、日本の女優さんで惚れた腫れたを芸の肥やしにしたのはこの方くらいじゃ内でしょうか。

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