2018年7月21日

初のカラー作品となる「秋日和」

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オヤジ3人の悪ふざけ映画?

なるほど、おもしろい視点があったものだと思ったことがあるんですが、一言映画批評みたいなサイトで、小津安二郎監督初めてのカラー作品である秋日和を、「オッさんたち3人の悪ふざけ映画」と書いてあったんです。
これには思わず笑ってしまいましたが、たしかにそんなひょうきんな一面もある作品です。

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この作品には、カラー作品と言うこともあって、色彩設計に小津は相当のこだわりを見せたそうで、原節子演じる未亡人の秋子がお勤めしている手芸教室(刺繍を教えているんですよ、普通の学校のような体裁の教室で。今どきの若いお嬢さんのある種族にとっては羨ましい環境でしょう)の事務室の、ほんのちょっぴり映り込むだけの絵画に梅原龍三郎の絵画を用いたり、いつもながらの細部にまでけっして手を抜かない演出が、今回も美しい映像、そしてシーンごとに変わる空気感の色調まで、美しい作品です。

先ほども書きましたが、未亡人の秋子は司葉子演じるやや潔癖性な娘、アヤ子とアパートでふたり住まいをしています。
アパートの廊下の青みがかかった灰色の空気は、これからの新しい東京の街を小津が暗示しているようです。
不吉な暗示に見えます。

アヤ子のプチ家出

急に降って湧いた母の再婚話に(亡くなった夫の同級生3名がやたら盛り上げているんです)激怒したアヤ子は、プチ家出をします。
会社の同僚である佐々木百合子が住んでいる下町の寿司屋です。
この家には艶っぽい空気が流れています。
小津が一番好む場面ではないでしょうか。

「お母さんが再婚するくらいでスネて来たの?イーダ、赤ん坊」岡田茉莉子演じる百合子に言われて、ここにもいたたまれなくなって帰ってしまうアヤ子です。
百合子も父の再婚で継母と暮らしていますが、表面的にはうまく調子を合わせています。

終始一貫清楚なアヤ子には、「きちんとしたお嬢さん」みたいな衣装しか着せなかった小津も、おちゃっぴいなところのある百合子の衣装では思いっきり流行のモードで装わせて見る者の目を楽しませてくれます。

岡田茉莉子の出自

岡田茉莉子は戦前の二枚目スター、岡田時彦の娘で、時彦と旧知だった小津が自分のことを「お嬢さん、お嬢さんと呼んでくれて、ちっとも厳しいことなかったんですよ」と述懐しています。
けど、岡田茉莉子もローポジ撮影には今ひとつ合わないお顔立ちですね。
下ぶくれで左右非対称なお顔の作りが強調されてしまいます。

そんな岡田茉莉子のために小津は一番の見せ場を用意しています。
アヤ子の結婚式で着用したみずいろのドレスと同色のお花でできた帽子です。
この衣装を着た百合子は最高に美しく、ラストシーンで娘を嫁がせてひとりアパートに戻った秋子を訪ねるんですが、本当に花束が立っているような美しさです。

この作品の儲け役は実は、岡田茉莉子だったのかも知れません。

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